建物の認定 - 土地家屋調査士事務所


建物の認定基準について

■Question

立体駐車場を建築し、銀行から融資を受けるために建物の登記(建物表題登記)を依頼しましたが、「建物として登記できない構造である」と言われてしまいました。どうしてでしょうか。

■Answer

◎不動産登記法における建物の認定要件

不動産登記手続きにおいて、対象の建造物が「建物」であると認められるためには、以下の3つの基本要件(および独立性)をすべて満たしている必要があります。

  1. 外気分断性(がいきぶんだんせい): 屋根および周壁(壁)を有し、雨風を防いで内部空間が外気と遮断されていること。
  2. 土地への定着性(ていちゃくせい): 基礎工事が施されるなど、建造物が土地にしっかりと固定され、容易に移動や撤去ができないこと。
  3. 目的とする用途性(ようとせい): 居宅、店舗、倉庫、工場など、特定の目的に適した空間として実際に使用できる状態にあること。

※上記に加え、「独立性(取引の対象となり得る独立した不動産か)」という要件も考慮されます。

お尋ねの立体駐車場ですが、もし柱と床・天井だけで構成され、壁がない(外気分断性がない)タイプや、屋根がないタイプの自走式立体駐車場の場合、要件を欠くため「建物」として登記することができません。建物登記ができない場合は、土地の登記簿に「構造物」を反映させることができないため、融資の担保(抵当権設定)の組み方について、金融機関や土地家屋調査士と別途相談する必要があります。

建物認定・不認定の具体例(事例紹介)

どのような建造物が建物として認められ、何が認められないのか、実務上よくある代表的な事例をご紹介します。

タワー式駐車場

タワー式駐車場 ⇒ 【建物】

内部は自動車を駐車・昇降させるゴンドラ装置等で占められていますが、周囲が完全に周壁で覆われており、外気分断性を満たすため「建物(平屋建て)」として登記可能です。

立体駐車場(不認定)

立体駐車場(壁なし) ⇒ 【非建物】

柱と床だけで周壁がなく、外気を分断していない、また最上階に屋根(天井)がない自走式の立体駐車場は、建物としては認定されません。

立体駐車場(認定)

立体駐車場(壁あり) ⇒ 【建物】

自走式であっても、その利用目的に応じた強固な周壁(外気分断性を満たす壁構造)が一定以上備わっている場合は、建物として認められます。

ゴルフ練習場

ゴルフ練習場 ⇒ 【建物】

打席部分など、しっかりと柱・基礎があり、かつ屋根がかけられているエリアについて、建物として部分認定(登記)が可能です。

ビニールハウス

ビニールハウス ⇒ 【非建物】

簡易的なパイプとビニール布で作られたものは、容易に解体・撤去・移動ができるため、「土地への定着性がない」とみなされ建物にはなりません。

ガラス温室

ガラス温室 ⇒ 【建物】

強固なコンクリート基礎が施工され、鉄骨とガラスによって周囲が固定されている大規模な温室は、土地への定着性が認められ建物となります。

組み立て式倉庫

組み立て式倉庫 ⇒ 【非建物】

コンクリートブロックの上にただ置いた(据え置いた)だけの簡易的な物置や既製品倉庫は、容易に移動できるため定着性なしと判断されます。(※基礎と緊結されていれば建物となる場合もあります)

モデルハウス

住宅展示場のモデルハウス ⇒ 【非建物】

構造自体は普通の住宅ですが、展示期間終了後に取り壊すことが前提(一時的な設置)とされているため、永続的な定着性がないものとして原則登記できません。

鉄塔

高圧電線等の鉄塔 ⇒ 【非建物】

定着性は抜群ですが、屋根や壁がなく、人間が何かの用途に使う空間(外気分断空間)を持たないため、建物ではなく工作物扱いとなります。

東京スカイツリー

東京スカイツリー ⇒ 【建物】

鉄塔に似ていますが、展望台や店舗、放送局用の部屋など、外気を分断した「目的の用途に供する空間」を有しているため建物として登記されています。

大阪城

大阪城(天守閣) ⇒ 【建物】

歴史的建造物・文化財であっても、定着性・外気分断性・用途性を満たしているため、不動産登記法上の建物として登記が可能です。

このように、建物の登記ができるかどうかの判断は非常に細かく、現地の設計や構造により個別判断となります。「これは登記できるのだろうか?」と疑問に思われた構造物がございましたら、ぜひお気軽に当土地家屋調査士事務所へお問合せください。

M.Yasunaga

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